クランチを毎晩続けているのに、スイングの軸のブレが直らない
ラウンド後半になると前傾姿勢が崩れて、ショットがバラつく
手打ちの自覚はあるが、どこをどう鍛えれば直るのか分からない
こうした状態になっていませんか。
先に結論をお伝えします。ゴルフの体幹は、腹筋を割るためのクランチをいくら続けても、思うようには変わりません。
そして体幹は、鍛えるものというより使えるようにするものです。
体幹トレーニングがうまくいかない方の多くは、この2点を取り違えていると感じます。考え方を整理したうえで、後半では自宅でできる種目も紹介します。
悩める人クランチ、真面目にやってるのに全然変わらないんですよね…



実はそれ、体幹を鍛える方向性自体がちょっとズレてるかもしれません。
ゴルフでいう体幹とは、腹筋(シックスパック)だけのことではない
体幹と聞くと、多くの方はお腹の前側の筋肉(シックスパック)を思い浮かべます。
それも体幹の一部ですが、すべてではありません。
腕と脚以外の部分はすべて体幹
私は、腕と脚以外の部分すべてが体幹だと捉えています。
脇腹、背中、腰まわり、お尻、股関節の付け根まで。胴体をぐるっと囲む筒のような構造全体が体幹です。
クランチでは、筒全体の働きをカバーできない
この筒全体が、スイング中に軸を保ちながら回転するという仕事を担っています。
お腹の前側だけを鍛えるクランチでは、そこをカバーしきれません。
腹筋運動が無駄なのではなく、それだけでは足りないという話です。
こんな状態、心当たりありませんか(体幹が使えていないサイン)
体幹が使えていないと、次のようなサインがスイングに現れやすくなります。
- フォロースルーで姿勢が崩れ、体が起き上がってしまう
- 腕だけで振っている感覚があり、体全体で打てている実感が乏しい
- 前半は良くても、ラウンド後半になるとショットがバラつく
- 練習場ではまっすぐ飛ぶのに、コースだと軸がぶれる
いくつか当てはまるなら、腹筋の量ではなく、体幹の使い方を見直すタイミングかもしれません。
体幹は鍛えるものというより使えるようにするもの
ここが今回、一番お伝えしたいところです。
体幹トレーニングで大事なのは、筋肉を大きく強くすることより、自分の体を使いこなせるようにすることです。
本当に必要なのは崩れたときに立て直す力
体は、動いている間つねに少しずつ崩れています。足元が滑る、重心が前に乗る、外から押される。
そのたびに無意識で体勢を立て直しているのが、体幹の働きです。
この崩れたときに立て直す力こそ、本当に鍛えるべきものです。
スポーツに限りません。重い荷物を片手で持って歩くときも、段差でつまずきかけたときも、この力の有無で体の安定感は変わります。
ビッグ3はそれ自体が体幹トレーニングになっている
前回の記事でお伝えしたビッグ3(ベンチプレス・スクワット・デッドリフト)は、実はそれ自体が体幹トレーニングとしても機能しています。
ポイントは、マシンのような支えが何もない状態(フリーウェイト)で、重いものを扱うことです。
バーベルを担いでしゃがむとき、体はわずかに揺れます。
バーベルが傾く、重心がつま先寄りになる。その小さなズレに対して、体は一瞬で反応し、姿勢を立て直しています。
この積み重ねが、そのまま崩れたときに立て直す力のトレーニングになります。
一方、動く方向が決まっているマシン種目では、この揺れがほとんど起きません。
マシンが悪いのではなく、狙いが違うだけです。
そのうえで、フリーウェイトで扱う重さが伸びることは、単に力がついた以上に、体を使いこなせるようになったサインでもあります。



体幹トレーニングを何かプランクのような特別な種目だと思っている方が多いのですが、実はバーベルを担いでしゃがんでいるその瞬間こそが、一番濃い体幹トレーニングだったりします。



え、ベンチプレスやスクワットが体幹トレーニングだったんですか…!



そうなんです。プランクだけが体幹トレーニングじゃないんですよ。
ただし、ビッグ3はフォームを誤ると腰や肩を痛めるリスクのある種目です。特にデッドリフトは腰への負担が大きいため、軽い重量から始めてください。フォームに不安がある方は自己流で進めず、トレーナーの指導を受けながら取り組みましょう。持病や体に不安がある場合は、事前に医師やトレーナーに相談してください。フォームの詳しい考え方は前回の記事で解説しています。


ゴルフスイングは考える余裕のない一瞬の動き
ゴルフスイングは、とても速い動きです。バックスイングを始めてからインパクトまでは、およそ1秒ほど。トップからインパクトまでに限れば、コンマ数秒の世界です。
この速さの中で、お腹を固めようと考えている余裕はありません。
必要なのは、全身の筋肉がバランスよく働いて、結果として体がぶれずにいてくれる状態です。
逆に、床に寝て体を丸めるだけ、あるいは捻るだけの腹筋運動は、スイングへの効果が薄くなりがちです。
床に支えられて決まった軌道を繰り返すだけでは、崩れる場面そのものが起きないからです。
体幹トレーニングの目的は、筋肉を大きくすることではなく、体を使いこなせるようにすること。崩れたときに立て直せる体が、ゴルフでも日常生活でも効いてきます。
では、なぜクランチだけでは遠回りになるのか。
ここからは、関節ごとの役割分担という視点で見ていきます。
なぜクランチだけではゴルフの体幹は鍛えられないのか
体幹を一つの塊と捉えるのではなく、関節ごとに得意な動きが違うという視点で見ていきましょう。
腰(腰椎)はそもそも大きく捻れる構造をしていない
背骨は、首・背中の上部(胸椎)・腰(腰椎)に分かれていて、それぞれ得意な動きが違います。
腰は本来、体を捻ることがあまり得意ではありません。捻れる角度も、背中の上部と比べるとかなり小さい範囲です。(腰椎はそれぞれが1度ひねられます。腰椎は5つありますので、可動範囲は5度になります)
指導していて感じるのは、体を大きく捻ろうとするほど、腰にしわ寄せがいってしまう方が多いということです。
大きく動くべきは背中の上部(胸椎)と股関節
では、捻る動きはどこが担うべきか。背中の上部(胸椎)と股関節です。
この2つは、腰と違ってもともと大きく回旋する構造をしています。
大きな回転を作りたいなら、腰ではなくこの2つを動かす必要があります。
体は固定する場所と動かす場所が交互に並んでいる、とイメージしてください。
腰は固定する場所、その上下にある背中の上部と股関節は動かす場所です。
腰に捻る仕事を押しつけると腰を痛めやすくなる
背中の上部や股関節が動いていないと、体は本来得意ではない腰に無理をさせてしまいます。
これが、ゴルフをしている方に腰の張りや痛みが出やすい大きな理由の一つだと、これまでの指導経験から感じています。
スイングに慣れてくるほど、この負担は積み重なりやすくなります。
体幹トレーニングというとお腹を鍛えて強くするというイメージが先行しがちですが、腰を余計に動かさず、背中の上部と股関節に仕事をさせるという発想の方が重要です。
これも、鍛えるというより使えるようにするという話です。



腰が痛いという相談を受けたとき、実は股関節や背中がうまく動いていなくて、腰がその分まで無理して捻っていた、というケースをよく見てきました。腰を鍛える前に、まず股関節と背中の上部が動いているかを確認してほしいです。
ゴルフの体幹に必要なのは捻る力より捻られても崩れない力
もう一つ見直したいのが、体幹の役目です。自分から体を捻ることではなく、外から加わる力に負けず、姿勢を保ち続けることです。
外からの力に負けなければ力はボールに伝わる
スイング中は、クラブの遠心力や下半身の回転の勢いが、常に体幹に伝わってきます。
押されて姿勢が崩れると、せっかく生まれた力はインパクトまでにロスします。
軸がぶれにくいほど、力はボールに伝わりやすくなります。
つまり、鍛えるべきは「捻る力」より「捻られても崩れない力」です。
崩れないとは崩れかけては戻るの繰り返し
先ほどの「崩れたときに立て直す力」と、この「捻られても崩れない力」は、根っこは同じです。
どちらも、思わぬ力が加わったときに体を正しい位置へ保とうとする働きです。
崩れないというのは、目に見えないレベルで崩れかけては戻るを繰り返している状態でもあります。
前回の左右非対称の話ともつながっている
前回の記事でお伝えした利き手側と非利き手側は逆方向に近い動き・役割を担っているという話も、この崩れない力とつながっています。
左右で違う仕事をしている以上、その間で体がねじられる力が生まれるからです。
プラスアルファで取り入れたい自宅でできる体幹トレーニング
種目の前に、位置づけをはっきりさせておきます。
本質的な体幹トレーニングは、前回お伝えしたビッグ3(フリーウェイト)の中にすでに含まれています。
これから紹介するのは、それに加える補助的な種目です。
ジムに通っていない方は、この種目だけから始めていただいて構いません。
自宅でできることだけでも、体幹を使う感覚はしっかり磨いていけます。
なぜ対角線上の動きが大切なのか
体幹が安定するために必要なのは、崩れないことだけではありません。
もう一つ大切なのが、利き手側と非利き手側が、逆方向に動き合うことです。
前回お伝えした左右非対称の話と、根っこは同じです。
分かりやすいのは、歩くときの動きです。
右手が前に出るとき、前に出ているのは左足。
上半身と下半身、右と左が対角線上に動いています。
この動きがあるからこそ、体幹部は一定の位置に安定したまま、体を前に運べています。
ところが一般的な体幹トレーニングは、体を一方向に動かす種目や、じっと止まっている種目が中心になりがちです。
対角線上に、体をバラバラに動かす要素を一つ入れておくと、体幹の使い方が変わってきます。
おすすめはスタビライゼーショントレーニング
その対角線上の動きを、自宅でそのまま練習できるのがスタビライゼーショントレーニングです。
四つん這いで行う種目で、道具もいりません。



歩いてるだけでも体幹トレーニングになってるってことですか?



その意識があるかないかで、全然違ってきますよ。
スタビライゼーショントレーニングは、体幹がうまく使えていないうちは、腰が反りすぎたり、バランスを崩したりしやすい種目です。まずは手足を伸ばす幅を小さくすることから始めてください。床が硬い場合は、膝や手首を痛めないようマットを敷きましょう。腰に違和感や痛みが出る場合は中止し、専門家に相談してください。
やり方
四つん這いから、右手と左足というように、対角線上の手足を同時にまっすぐ伸ばします。
このとき腰が反らないよう、お腹に軽く力を入れておきます。
そこから伸ばした肘と膝を胸の下で引き寄せ、また伸ばした姿勢に戻る。この往復を繰り返します。
一つの動きの中に、捻り(回旋)、丸まり(屈曲)、体を横に倒す動き(側屈)がすべて含まれ、左右の手足をそれぞれ違う役割で動かす能力が求められます。
体幹を安定させたまま体を動かすという今回のテーマを、そのまま練習できる種目です。
体幹の目的は「捻ること」ではなく、「崩れないこと」と「対角線上に動けること」。腰は固定、背中の上部と股関節を動かす。この役割分担を体に覚えさせることが、遠回りに見えて一番の近道です。
スタビライゼーショントレーニングに慣れて、もう少し負荷を上げたいという方には、アブローラー(アブホイール)も選択肢になります。
これは、動きながら体幹部を安定させ、腕を前へ伸ばし出していく種目です。
ゴルフに限らず、スポーツをされている方には特におすすめです。
ただし腰が反りやすい種目でもあるため、最初は膝をついた状態で、伸ばす幅も小さいところから試してみてください。
価格:1350円〜 |
慣れないうちは腕の力で耐えようとしてしまいがちですが、続けていくうちに、腕ではなくお腹で体を支えるという感覚が身についていきます。
どうしても分からないという方は、単発でも良いのでパーソナルトレーナーに使い方を損段してみると良いでしょう。
一番の理想は、スイングと日常動作の中で体幹を使えるようにすること
ここまでの考え方を突き詰めると、一番の理想は、ゴルフスイングという動作そのものの中で、体幹を使えるようにしていくことです。
素振りの一回ごとに体幹の使い方を確かめる
自宅で種目をこなしても、スイング中の体の使い方につながらなければ、練習場での手応えは変わりにくいものです。
確かめるのは、実際のショットの最中ではなく、素振りやゆっくりした練習スイングの中。
一回ごとに腰は動かさず、背中の上部と股関節から回れているかを確認しながら振っていくと、スイングそのものが体幹トレーニングになります。
筋トレも同じです。今、自分は体幹をどう使っているかという視点を持って行うかどうかで、得られるものは変わります。
ゴルフをゴルフとして考えるのをやめてみる
ここで、視点を一つ大きく変える提案をさせてください。
スイングを良くしたいなら、まずゴルフの動きとして考えるのをやめてみることです。
代わりに目を向けたいのは、日常生活で自分の体をどう動かしているかです。
極端に言えば、歩いたり走ったりする動きを、そのままゴルフに取り入れる発想です。
先ほどの対角線上の動きは、スポーツのために覚えたものではなく、誰もが毎日、無意識にやっている動きです。
ゴルフスイングも、その延長線上にあります。
ゴルフをゴルフとして考えてしまうと、途端に難しくなります。
トップの位置、手首の角度、腰の回し方。覚えることが増えて、体はかえって固まります。
ところが、日常生活の動作をゴルフに取り入れると考えると、どんな動きを身につければいいのか、どんなトレーニングをすればいいのかが、自然と見えてきます。
スタビライゼーショントレーニングをおすすめしたのも、日常の対角線上の動きをそのまま練習できるからです。
練習しても上達しない一番の理由
ここが今回、一番お伝えしたい結論です。
筋力トレーニングを重ね、ゴルフの練習やドリルもこなしているのに、なかなか上達しない。
その理由の一つとして私が感じているのは、人間本来の正しい動き、つまり日常の動作でできているはずの自然な体の使い方が抜け落ちたまま、ゴルフの技術だけを磨こうとしている、という点です。
土台が抜けたまま技術を積み上げても、成果にはつながりにくいのです。



練習量は十分なのに伸び悩んでいる方を見ていると、ゴルフの動きが難しいというより、そもそも普段の体の使い方がうまくいっていないケースが本当に多いです。遠回りに思えても、そこから見直した方が結局は早いんです。
だからこそ、歩く、階段を上る、荷物を持つといった日常の動作を、ただの移動で終わらせないでください。
手と足が逆方向へ動いている感覚、荷物に引っ張られても体が傾かない感覚。
そこで拾った感覚を、そのままスイングに持ち込んでいく。
特別な道具も時間もいらない、遠回りに見えて確かな方法です。



遠回りだと思ってたことが、実は近道だったんですね。



そうなんです。次はその土台を飛距離につなげる話をしますね。
体幹が使えるようになった先にあるもの
今回の考え方は、前回お伝えした左右非対称な動きの話と組み合わさることで、より効果を発揮します。
体幹という土台が使えるようになってはじめて、左右の役割分担も窮屈にならず発揮されやすくなるからです。
そして体幹が使えるようになると、下半身で生み出した力をロスなくクラブへ伝えられるようになります。
その先にあるのが、ドライバーの飛距離です。
まとめ
ゴルフの体幹は、腹筋だけではありません。
そして大切なのは筋肉の大きさではなく、崩れたときに立て直す力と、手足が対角線上に動き合う力です。
その力は、ゴルフを特別な動きとして考えるのをやめ、日常の動作の延長として捉えたときに見えてきます。
- 体幹は腹筋だけではなく、腕と脚以外すべて
- 体幹は「鍛える」より「使えるようにする」もの
- トレーニングの本体はフリーウェイトのビッグ3、自宅種目はプラスアルファ
- 鍵は「捻られても崩れない力」と「対角線上に動ける力」
- ゴルフをゴルフとして考えず、日常動作の延長として捉える










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